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おたふく難聴

2012/03/18 【耳鼻科の話】

京都市中京区 なかい耳鼻咽喉科院長、中井 茂です。

みなさん『おたふく難聴』という病気をご存知ですか?

これはおたふく風邪の重要な合併症の一つで、おたふく風邪にかかった後に生じることのある高度な難聴です。

多くは片方の耳だけに起こり、もう片方の耳が聞こえるために家族もなかなか気が付きません。

その上困ったことに有効な治療法がないのが現状です。

以前は発症率は15000人に1人程度と考えられていましたが、最近では1000人に1人から100~500人に1人と、決して低率ではないと考えられています。

おたふく風邪(流行性耳下腺炎、ムンプス)はムンプスウイルスによる感染症で、症状は耳下腺の腫れや痛み、発熱です。

3~6歳の小児期に好発します。

おたふく風邪の根本的な治療薬は現在のところありませんから、予防がとても重要となります。

現在おたふくの予防接種ワクチン、ムンプスワクチンは任意接種のワクチンとなっています。

これは以前に用いられたワクチンによる無菌性髄膜炎の発症率が高頻度であったためですが、現在用いられているムンプスワクチンによる無菌性髄膜炎の発症率は21465例のワクチン接種者のうち10例(0.05%)と報告とがあり、おたふくの自然感染者の髄膜炎発症率が1~10%ですから、現行のワクチンの副反応として無菌性髄膜炎発症の頻度は極めて低いと考えることができます。

また難聴の発症頻度は、自然感染者の発症率が100~1000人に1人に対し、ワクチンによる発症率は100~200万人に1人程度と報告されており極めて低率と判断できます。

このようにムンプスワクチンによる副反応は自然感染に比べてはるかに少ないものと考えることができますが、わが国では定期接種再開には至っていません。

ワクチンの接種率の向上のためにはさらに安全なワクチンの開発が期待されます。

僕は耳鼻科医の立場からワクチンによるおたふく風邪の予防の重要性を皆さんへお伝えしたいと思っています。

通常1歳以上で1回接種を行います。

2~3歳ごろまでに済ますのが良いようです。

当院では予約にて接種いたしますので、ご希望の方はまずはお電話にてご連絡下さいね。

または、かかりつけの小児科の先生にご相談してみて下さい。


なかい耳鼻咽喉科 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科・アレルギー科

院長 中井 茂(なかい しげる)

院長 中井 茂(なかい しげる)

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