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花粉症「減感作療法」のお話
2010/10/11 【耳鼻科の話】
京都市中京区 なかい耳鼻咽喉科院長、中井 茂です。
暑い暑い夏も終わり、ようやく過ごしやすい秋がやって来ましたね!
高い空、さわやかな風・・・京都市中京区にあるこの医院からは京都御所がすぐ近くにあり、アウトドアが好きな僕は、美味しい新米で作ったおむすびを持ってすぐにでも御所へピクニックに出掛けたくなります。
↑御所の中
↑御所の池の鴨たち
そんないい季節の到来ですが、毎年花粉症で苦しんでいる方々にとってはそろそろ来年の花粉の状況が気になってくるのも丁度今頃でしょうか・・・。
先日のニュースでも取り上げられていましたが、来年のスギ花粉の飛散量は例年の5倍から10倍と予想されており、残念ながら花粉症の方にとってはつらい春になりそうです。
アレルギーの治療には大きく分けて①薬物治療、②LASER治療などの外科的治療、そして③免疫治療があります。
免疫治療はあまり知られてはいませんが、簡単に説明しますとスギやハウスダストなど、その患者さんのアレルギーの原因となっている物質のエキスを少しずつ体内に入れて体を慣らして行くことによって、体が次第にその物質に対してアレルギー反応を起こしにくくなって行くという根本的な治療法で、減感作療法と呼ばれます。
5歳のお子さんからが対象で妊娠中にも継続できる、この減感作療法とは具体的にどのような治療法なのでしょう?
検査でアレルギー物質を特定しいよいよ治療を開始したら、初めのうちは毎週皮下へ少量のエキスを注射します。
そして少しずつエキスの量を増やしていくと共に、やがて3週間~4週間に1回の注射へと間隔を延ばしていきます。
最近は注射ではなく、このエキスを浸したパンを舌の下に含み、口の粘膜からエキスを取り込む試みも研究されています。
この減感作療法が効果を示せばアレルギー性鼻炎の薬に頼らない根本的な治療が期待できるため、患者さんにとっては大きな意義があるといえます。
ただ、ゆっくりゆっくり体を慣らしていきますので治療の効果が現れるには概ね半年以上かかり、十分な効果を得るには短くとも3年以上の継続が重要となります。
また安全な治療とはいえ、もともと体にとってアレルギーがある物質を取り込む訳ですから極めて稀ではありますが強いアレルギー反応を起こすことがあり、医師による十分な指示と監督が必要です。
最近では抗ヒスタミン剤を治療の前に飲むことによって安全性が一層向上することが判ってきています。
来年の花粉症対策として減感作療法の効果を得るにはもうあまり時間がありませんが、長い目で見て薬に頼らないようにしていきたいとお考えの方にとっては有力な選択肢の一つであると言えるでしょう。
毎年繰り返される花粉症との戦いにお困りの方、
「減感作療法って気になってはいるけど具体的にどんな治療法なの?メリットは?デメリットは?」と興味をお持ちの方、
解りやすくご説明しますので、どうぞお気軽にご相談くださいね。
院長 中井 茂(なかい しげる)
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